TL;DR
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史上最高・最強のロケット「Starship V3」が何を変えようとしているのか、そしてNASAの月面着陸計画がどこまで来ているのかがわかります。
- kN: キロニュートン。重さや力を表す単位
- SLS: Space Launch System(スペース・ローンチ・システム。NASAの大型ロケット)
- 新型の大型推進剤タンク
- 軌道上での燃料補給に対応する設備
- 改良された耐熱タイル(大気圏再突入用)
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HLS: Human Lander System(ヒューマン・ランダー・システム。有人月面着陸機)
・SpaceXの新型Starship V3は全高124m・推力75,000kNで、史上最大・最強のロケット
・早ければ2026年5月19日にテスト飛行を予定(第12回目)
・前バージョンからグリッドフィン・燃料タンク・耐熱タイル・発射台をすべて刷新
・NASAのアルテミス計画(2028年月面着陸)の月面着陸船として採用されている
・「プロトタイプが終わった」——量産モデルの最初のテストという位置づけ
📋 上の概要はAIが生成しています
この話題本当にすごいと思う。人類史上いちばん背が高くて、いちばん力持ちのロケットが、数日後に飛ぼうとしている。
個人的に滅茶苦茶大好きな思想と夢を持つSpaceX・航空宇宙開発事業の話題だけに、ワクワクが止まらない話題だ。
New Scientistが2026年5月15日に報じたところによると、SpaceXの新型Starship V3(スターシップまたはStarship Version 3、Super Heavy V3)が早ければ5月19日にテスト飛行を予定している。「また打ち上げニュースか」と思ったら一度立ち止まってほしい。今回は桁が違う。
全高124メートル、推力75,000キロニュートン
数字だけ並べても実感しにくいので、少し整理する。
| ロケット | 全高 | 推力 |
|---|---|---|
| Starship V3(新型) | 124m | 75,000 kN |
| Starship 2(前型) | 約123m | — |
| NASA SLS | 98m | 39,000 kN |
| サターンV | 111m | — |
NASAが現在アルテミス計画に使っているSLS(スペース・ローンチ・システム)は98メートル。アポロ計画で人類を月に送ったサターンVは111メートル。今回のStarship V3は124メートルで、どちらも超えてくる。
推力に至っては、SLSのほぼ2倍。75,000キロニュートンというのがどれくらいかというと、英国シェフィールド大学のアリスター・ジョン氏が計算したところ、Starshipの全エンジンが最大出力で動いているときのパワーは、ドイツ一国の全発電量を上回るらしい。
・・・ドイツ一国の全発電量。
エンジンが「国家の電力供給量」を超えるってどういう感覚なんだろう。
微塵も想像がつかない上にキロニュートンがそもそも生活に出てこない。あまりに想像がつかないので調べてみたところによると、ジャンボジェットでいえば約66機、エアバス(A380)でも約60機分の一斉離陸に相当する推力とのこと。実際の値は諸説あるだろうが、とにかくものすごいことがわかる。
何が変わったのか:Starship V3の改良点
今回が「第12回テストフライト」にあたる。前回(バージョン2)のテストは昨年10月。そこからSpaceXは両段階を大幅に改修してきた。
Super Heavy 3(下段ブースター)の変更点
グリッドフィンの枚数が4枚から3枚に減った。「減らして大丈夫なの?」という気がするが、サイズが50%拡大されている。枚数を絞りながら1枚あたりの面積を増やすことで、大気圏再突入時の誘導精度を高める設計だ。
Starship V3(上段宇宙船)の変更点
なかでも「軌道上給油」の設備は重要で、月や火星への長距離ミッションを実現するには、地球を出た後に宇宙空間で燃料を補給する仕組みが不可欠になる。今回のフライトでその基盤が検証される。
さらに、今回の打ち上げはテキサス州スターベースの新設計の発射台から行われる。新型ロケット+新型エンジン(バージョン3 Raptorエンジン)+新発射台、という構成なので、テストとしての難度はこれまでで最も高い部類に入る。
「失敗してもいい」という戦略の本気度
SpaceXはシリコンバレー式の「fail-fast, learn-fast(速く失敗し、速く学ぶ)」を宇宙開発に持ち込んでいる。過去11回のテストフライトのうち、成功は6回、失敗は5回。打率で言えば5割強。
宇宙業界の保守的な文化からすると、この数字はかなり異質に感じる人もいると思う。でもキングストン大学ロンドンのピーター・ショー氏はこう言う。
「ロケット科学は難しい。複雑だ。でもできるか? できる。スケジュール通りできるか? 静かに自信を持てる理由がたくさんある。あと1回、2回、あるいは5回失敗しても……学んで、改良して、新しいシステムを作り上げる」
この「静かな自信」という表現、なんか好きだ。大口叩かずに、ただやる、みたいな。
SpaceXが成功とみなしているのは6回には目標を完全達成したケースだけでなく、爆発はしたものの重要なデータを完遂した『前向きな成功』も含まれているようで、残りの5回は空中分解などの失敗とのこと。それらすべてを量産モデルへの授業料に変えているのが彼らの強みだとも思う。
アルテミス計画との接続
Starshipが単なるSpaceXのロケットではなく、NASAにとっての核心でもある理由がここにある。
NASAは2028年を目標に人類の月面着陸を計画している(アルテミスIV)。その月面着陸に使う「Human Lander System(HLS)」として選定されているのが、SpaceXのStarship(とBlue Originの着陸船)だ。
直近の流れを整理すると、2022年に無人ミッション「アルテミスI」が成功。今年初めにアルテミスIIが実施され、4人の宇宙飛行士が月周回を行った。人類がこれだけ地球から遠くに行ったのは数十年ぶりのことだ。
NASAが最近公開した文書によれば、アルテミスIIIでは宇宙飛行士がオリオン宇宙船でSLSに乗って低軌道に到達し、そこでStarshipやBlue Originの月面着陸船と合流する計画になっている。燃料や乗員を積み替えてから月へ向かう、という二段構えの構造だ。
シェフィールド大学のジョン氏はStarship V3をこう評価する。
「ある意味では小さな、段階的な改良だ。でも同時に、これまでで最も重要なバージョンでもある。他のバージョンはプロトタイプだった。バージョン3は量産モデルの最初のテストだ。あとは信頼性を高めるだけ」
「プロトタイプが終わった」——これだけで映画の名台詞になりそうなレベルでかっこいい。
Starship V3 という映画の名シーンと言われても信じてしまうだろう。この一言が、今回のフライトの意味を端的に表している気がする。
知らなかった事実:月面着陸用のStarshipは「熱シールドがない」
何も知らない私のような人間からすると、それ本当に大丈夫なんですか・・?となってしまいそうだが、きっと専門家やプロの人が言っているのだから間違いないのだろう。
月面着陸用のHLS(Human Lander System)は、地球帰還時の大気圏再突入をしないため、耐熱シールドが不要になる。また、月の重力は地球の約6分の1なので、着陸に使うエンジンも地球帰還用とは別設計になる。
今回テストするStarship V3は、その「量産モデルの原型」だが、月面に降りるバージョンはさらに別途カスタマイズが必要になる。宇宙開発、楽しそう。
5月19日(もしくはその前後)に、人類史上最高・最強のロケットが飛ぶ。成功しても失敗しても、Starship V3はここから始まる新しいフェーズの最初の一手だ。
宇宙に引き戻される感覚、久しぶりにある。
出典: Matthew Sparkes, “SpaceX is about to launch tallest and most powerful rocket in history“, New Scientist, 15 May 2026


